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2025年5月13日、MZCC会員企業である株式会社アスピアが建設した「ASUPIA NEXT」の完成見学会が開催されました。

今回建設された建物は「ZEB1 ZEB(Net Zero Energy Building)とは、建物で消費する年間の一次エネルギー量を、断熱性能の向上や高効率設備の導入、再生可能エネルギーの活用などによって実質的にゼロにすることを目指した建築物。の基準を満たしており、県産材をふんだんに使用した木造建築となっています。

省エネルギー面では、外皮性能に優れた断熱材の採用や空調設備の自動制御などを導入。創エネルギー面では、建物の屋根に太陽光パネルを設置し、さらに蓄電池およびV2H機能を備えたEV充電器も併設されています。

また、アスピアでは、今回の事業を契機に、ZEB技術を地域へと広げていくことを目指しています。建物は、地階を鉄筋コンクリート造とした実質3層構造で、各階ごとに異なる材質の窓サッシを採用するなど、展示場としての機能も兼ね備えています。

ASUPIA NEXT は、「性能と意匠の両立」をコンセプトに、開放的な空間が広く設けられています。内装デザインは、「iF DESIGN AWARD 2024」で金賞を受賞した Ras DESIGN OFFICE の金井亮氏が手がけました。

地階のコミュニケーションスペースでは、建物内から外へと連続するタイル張りの床が特徴的で、建物の内と外をつなぐ工夫が随所に見られます。企業としてのビジョンを描き、地域とのつながりを願う思いが、建物のかたちとして表現されています

完成見学会の冒頭では、MZCC運営委員を務める信州大学の高木名誉教授による特別講演が行われました。講演のテーマは「ZEBの建設と省エネルギー〜リアルZEBを目指して〜」。

高木氏は、ZEB建築においては補助金の獲得が目的化して「建てて終わり」になるのではなく、建設を出発点として、現実的な運用結果に基づき課題を共有し、考え続けていくことが重要であると強調しました。

アスピアが今回建設された建物を今後どのように活用されていくのか、非常に楽しみです。同時に、今回のような先進的な取り組みを契機として、ZEBを松本平地域にどのように広げ、浸透させていくかについても、改めて考えさせられました。

ZEBの目標と現実との間に乖離が見られる現在、松本平地域が一体となって戦略を検討し、具体的な取り組みを進めていく必要性を感じています。

松本市環境・地域エネルギー課 工藤太陽