2024年8月22日、松本平ゼロカーボン・コンソーシアム(MZCC)モビリティ部会では、ゼロエミッションタクシーの導入実例の現地見学&研修会のため、飯田市の南信州広域タクシー有限会社(アップルキャブ)を訪れました。電力会社、電気通信事業者、自動車関連会社、EV充電設備関連会社、電力工事会社を中心とするMZCC会員企業6社と2自治体より、計12名の皆様にご参加頂きました。
アップルキャブ様では、所有する71両のタクシーの、ほぼ全て(97%)を次世代自動車(EV、PHV、HV等)へ代替され、また電気自動車(EV)への充電に再生可能エネルギー由来の電力を用いることにより、ゼロエミッションタクシーの運行を実現されています。
研修会では、おひさま進歩エネルギー株式会社様、飯田まちづくり電力株式会社様との連携による事業スキーム、また安心安全な脱炭素社会を構築するための取り組みとして阿智村との災害協定等につき、教えて頂きました。
再生可能エネルギーの導入手法 ~複数事業者との連携~
アップルキャブ様では、おひさま進歩エネルギー株式会社様とのPPA契約を通じ、本社社屋とタクシー車庫の屋根に太陽光パネルを設置。日中は太陽光から得られた電力を事務所とEV充電に使用し、余剰電力は、飯田まちづくり電力株式会社様に売電されています。買い取られた電力は、飯田まちづくり電力株式会社様が環境価値を非化石証書化。「南信州ゼロカーボン電力」として供給されています。
夜間のEV充電の際には、飯田まちづくり電力株式会社様から非化石証書を購入。そのような3社連携スキームにより、アップルキャブ様では、昼夜間を通じて、実質CO2排出ゼロのゼロカーボン運輸の実現を達成されています。
災害時の防災力強化
更に、アップルキャブ様では、POCHA V2V(可搬型EV充放電器)も導入され、いつでもどこでも電欠したEVへ急速充電ができるサービスも展開できるように工夫されています。災害時には避難所へ駆けつけ、POCHAを活用し、地域住民にライフラインを提供される予定で、近隣の阿智村と災害協定を締結されたというお話も伺いました。
ソフト面での工夫
その他ソフト面でも様々な工夫をされており、2023年のエコドライブ活動コンクールでは、国土交通大臣賞を受賞。加えて、長年に亘るエコドライブの取り組みにより、車両使用年数に関しても、長野県1位の4.81年を達成されるという、輝かしい実績を上げられています。
質疑応答
一時間に亘る質疑応答では、脱炭素経営のポジティブな側面として、円滑な採用実績のお話を伺いました。ドライバー不足が業界全体の課題とされる中、アップルキャブ様では、女性を含めた若年層のドライバーの入社希望が増えていると実感されているそうです。若い人材、特に女性は、業種や業務内容よりも、会社の方向性を重視されている方が多いとか。これからも積極的に情報発信をしていきたいと、鈴木佳史代表取締役社長はおっしゃっていました。
またEVのタクシー利用に関しても質問が出ましたが、これまでメンテナンス上のトラブルもなく、普通にタクシーとして利用することに、全く問題ないとのことでした。
最後に、今回はMZCC会員企業の松本日産自動車株式会社様のご協力を得て、松本市から飯田市まで、EVに試乗させて頂きました。最新のアリアは、とっても快適!自動運転の技術も素晴らしく、EVの魅力を満喫することができる旅となりました。
ご教示賜りましたアップルキャブ様、おひさま進歩エネルギー株式会社様、飯田まちづくり電力株式会社様、EV試乗の機会を頂きました松本日産自動車株式会社様、また参加くださいました会員の皆様、どうもありがとうございました。