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2025年2月5日、松本平ゼロカーボン・コンソーシアム(MZCC)再エネ部会・モビリティ部会では、上田市に本社を置く日置電機株式会社が自社の駐車場に設置しているソーラーカーポート、および株式会社Yanekaraと共同で実証を行った、ソーラーカーポートを電源とするオフグリッド型EV充電システムの見学をおこないました。当日は、MZCC会員の企業や自治体などから、合計9名が参加しました。

従業員用駐車場を活用したソーラーカーポートは、現在1MWが稼働しており、今後は2MWまでの拡大が計画されています。このソーラーカーポートは自家消費型で、発電した電力は本社で使用されているほか、駐車場には従業員用のEV充電器が6基設置されており、勤務時間中に従業員が自家用EVを充電できる環境も整備されています。さらに、2MWhのリチウムイオン電池が駐車場の隣接地に設置されており、発電した電力を効率的に活用するためのエネルギーマネジメントシステムの構築にも取り組んでいます。

また、一般的なソーラーカーポートは4本脚のものが多い中、日置電機のソーラーカーポートは、支柱部分がパンタグラフ状になっており、柱の数が抑えられています。これにより、駐車時に車が柱に接触するリスクが低減されるとともに、設置にあたって駐車線を引き直す必要がないとのことです。構造は、積雪60cm、風速30mにも耐えられる設計となっています。

Yanekaraと実証を行ったオフグリッド型EV充電システム(ソーラーカーポート:11kW、蓄電池:15kWh)については、外気温が低下するとシステムが稼働しないという課題があります。一方、夏場にはこの設備だけでEVの充電をまかなえるだけの発電量があり、実証はすでに一区切りついているものの、今後もシステムの活用を継続していく方針とのことです。

当日は、日置電機の社員の方に社内をご案内いただきました。社員の方が自ら考案・製造したねじ整列機や電子測定記録装置、そして開放的な社員レストランが特に印象に残りました。また、社員レストランにはソーラーカーポートの発電電力量をリアルタイムで確認できるモニターが設置されており、「見える化」を通じて脱炭素経営を社員に浸透させる取り組みがおこなわれていることがわかりました。

日置電機は「HIOKIサステナビリティ宣言」にもとづき、2025年にスコープ1・2、2035年にスコープ3のカーボンニュートラル達成を目指しています。自社の脱炭素実現にとどまらず、株式会社はたらクリエイト(上田市)と協定を締結し、自社の持つノウハウを提供する中で、女性の活躍推進や近隣企業のGHG算出支援などを行い、地域全体でのカーボンニュートラル実現に挑戦しています。

今回も、MZCC会員である松本日産自動車株式会社にご協力いただき、EV試乗会を開催しました。今回は「サクラ」を1台ご提供いただきました。三才山トンネルを往復で利用しましたが、山道での走行においても馬力にまったく問題はなく、むしろガソリン車よりもアクセルを踏まずに坂道を上っていく感覚があり、EVならではの走行感を味わうことができました。下り坂ではアクセルを緩めることでブレーキを踏まずに減速できるため、運転が非常に楽でした。

「サクラ」はEVの中でも小型タイプですが、松本―上田間であれば充電なしで往復が可能です(今回は昼食の時間を利用し、念のため充電をおこないました)。